Dr.ピペリジンのブログ

少年は思った、ドラッグストア でポテチ売りたいな。そんな気持ちで薬学に進学した人の後日談。お問い合わせも気軽にどうぞ。

研究を先に進めるには

さぁ昨日からきちんと仕事はじめしてきました。

やっぱり職場の方がデスクワークも捗るね。

いや家でもできるかもしれないけど、息子が可愛すぎる活性化エネルギーは越えられないでいる。

実は冬休みの最初に学生さん達の半年分の報告会の資料などをチラチラ見直してて思ったことがあるので書いてみます。

 

やっぱしっかりしたアドバイスをするには自分がミーティングの資料をちゃんと読み込まないといかんと思いつつ、普段は自分の研究と家庭があるとなかなかそういう時間も取れず毎週過ぎていくんで、冬休みみたいな時間が大変貴重である。

 

それでミーティングの資料を見て第一印象が、これは全く予想外だったのだけど、なんと報告会の資料をしっかり読んでもなかなか研究の本質が見えにくいという事実です。

 

思うに原因は二つあって、一つは実験結果がふわっとしてることと、もう一つはフューチャープランが書き込まれていないということ。

 

実験結果がふわっとしてるっていうのはただTM not detectedとかMS not detectedみたいなことしか書かれていない。

※TMっていうのはtarget molecureの略で目的物という意味、MSはマス(質量分析)という化合物の分子量がわかる測定。要するに目的物の質量が含まれない場合は目的物がない可能性が高いということ。

 

TM not detected。

 

うん、わかる。じゃ他は?


MS not observed。

 

うんうん、わかる。じゃぁ他は?

 

他は?っていう部分が合成ではかなり重要です。

あとやっぱりMSは万能な装置ではないので、crudeのMSでいるいないを判断するのはなんだか違う気がしてきました。CrudeのNMRを見て、TLCのスポットを単離してきて、NMRを見てから最後の間違いないよね?の確認で使うのがMSかなぁ。原料が残った消えたをMSで確認するのは良いかもしれないがTM有無は偉い先生の言葉を真似すると俺のセンスじゃねぇなぁ。(偉い先生は偉いのでブチリチの使用すら文句をいう)

 

次にフューチャープランが書き込まれていないことについて。

フューチャープランは自分のこうやりたいです!っていう自己主張の場だと思うので、今後の検討の箇条書きだけじゃなくて、色々バンバン書いたらいいと思うのよ。(そのためには研究について相当考える必要がある)

 

とにかく色々書いてたら先生からたいてい「えーそれはちょっとなぁ」みたいなレスポンスを得られるんだけど、たまにある「いいね、やってみよう」を引き出せるとパチンコの確変みたいな感じ。それだけじゃなくて「えーそれはちょっとなぁ、じゃこうしたら?」は自分の経験や論文からは得られない貴重なアドバイスだったりするよ。

 

なのでまぁ、忙しい中でのミーティングですが、実験結果の解像度を上げること、フューチャープランに自分の主張をバンバン書くこと、この二つで毎週のミーティングがより充実するかもよーと思った次第であります。

 

教員側としては、ミーティング資料だけでわかりにくい場合には積極的にミーティングの後で学生さんに直接話を聞きにいく、くらいで良いんだなと思ったので今年はその点頑張っていきます。