Dr.ピペリジンのブログ

少年は思った、ドラッグストア でポテチ売りたいな。そんな気持ちで薬学に進学した人の後日談。お問い合わせも気軽にどうぞ。

ウィークリーケミストリー 第二回

 はい、今週もウィークリーケミストリーのお時間です。みんなで楽しく化学を勉強しましょう。


本日の問題はこれ、〇〇〇〇〇〇インドール合成。

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大学院生なら分からないといけないやつです。
僕は、、、はい。生成物なら分かったんですけどね汗汗。なんか久しぶりにゼミで見ると、あるえぇぇ?となって反応機構書けませんでした。Shame。これはマジShame。ま、そういうShameをなくそうと思ってブログ書いてるんだから良いの。

さて、聡明なケミストである読者の方々なら私が小言を言っている間に生成物も反応機構も頭に浮かんでいる事だろうと思う。それではまずは生成物から見ていこう。

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そらね、そうだろうよ。フィッシャーインドール合成だもん。アリールヒドラジン(出発物質)が出てきたら10中8、9、フィッシャーインドール合成だよね。メモめも。他にもたくさんインドール合成法があるのでいつか反応機構込みでまとめた表みたいなの作りたいね。

さてさて、みなさんフィッシャーインドール合成の反応機構はちゃんと描けますでしょうか?
Can you describe the mechanism for Fisher indole synthesis?

それでは反応機構を見ていきましょう。

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1段階目の反応は基本中の基本ですね。アミンとケトンから水が一分子抜けてイミンができます。学部の有機化学でもテストで必ず出てくる反応です。この反応、酸とか硫酸マグネシウム(脱水剤)を入れなくて反応進むんか?と疑問に思いましたが、SciFinderで検索するとエタノールで攪拌、あるいはトルエンで加熱還流で出来るようです。僕なら触媒量のPPTSとか入れちゃいそうですけどね。同様の反応をやった事ある人いたら詳しい事教えてください。コメント待ってます。

さて、問題は二段階目の反応ですよ奥さん。

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僕は普段は有機触媒とかやってるのでイミンからエナミンになるのはすぐにわかるんですが、エナミンとアニリンで結合を作る(どっちも電子豊富)のはなんか抵抗を感じてしまって、反応機構のゲシュタルト崩壊を起こしてしまって訳わからなくなっちゃいました。(excuse)

それで、ゼミのあとでインターネッツで調べたらはいシグマトロピー。
当たり前やん!!!!バカバカバカ!!!!!

という事で、アニリン部位とエナミンで無事シグマトロピーしたら後はもうなるようになってアンモニアの脱離と再芳香環化でインドール完成ですね。簡単(おい)。

そうですね、190 ºCとかのアホみたいに加熱してる反応は大体は転移反応だと思うので、すごい加熱=転移は頭に入れておいたら反応機構でパニックにならずに済むかもしれませんな(と自分に言い聞かせるのであった)。

めでたしめでたし。



雑談

シグマトロピー転移。僕が学部生の時、西沢先生に授業でペリ環状反応を習った時の話。先生はこれは一瞬でチャラーーーーーンと全部の結合が組み変わる反応です。この反応がテストで出てきたら、頭の中でチャラーーーーーンと言いましょう、と言っておられたのが印象的でした。なんだか懐かしくなったので書いておきます。