Dr.ピペリジンのブログ

少年は思った、ドラッグストア でポテチ売りたいな。そんな気持ちで薬学に進学した人の後日談。お問い合わせも気軽にどうぞ。

母校で講演やってみた!

 日本に帰国した際、メイドカフェやスイッチバーに行って遊んでばっかだったのかと言えば全くその通りですけど、実は出身高校で講演なんて洒落た事もやりました。

 

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 (本人撮影:母校の前で)

 

今回はその時のお話をしようと思います。

 

講演の動機

 

以前からこのブログで田舎の教育は残念だ!なんて言っておりますが、だからこそ僕が母校の後輩達に何か出来れば良いなと思い、講演をやって見ることにしました。

 

 

講演の規模

 

講演は高校3年生の理系の希望者に設定しました。

 

僕が理系であるという事と、これから受験を控えた高3は大学の話を聴くモチベーションが高いだろうという事、高校生向けの講演で全く手応えが分からないので、先ずは小規模でやってみようと思ったからです。高校の先生もいきなり大規模な講演でマズイ事を喋る人だったら困ると言う気持ちもあるでしょうしね。40名前後の生徒さんが参加してくれました。

 

講演時間は1時間(プレゼン45分、質疑応答15分)

 

講演内容

講演内容は大きく3つのトピックに分けました。

 

1、大学の研究(有機化学)について

 

2、大学、大学院ってどんな所か、僕が進路を選択した動機や心境など

 

3、研究生活で学んだこと

 

講演内容はスライドを作り始めた時は最初どーすんだよ!って感じでしたが、自分が高校3年生の時を思い出しながら作ったら自ずと内容は上記の3つになりました。

 

地元に大学のない田舎ですので高校生に少しでも大学を感じて欲しかったのと、受験勉強のモチベーションアップに繋がればいいなと思いこの3つに絞りました。

 

 

講演内容の要約

 

1、大学の研究(有機化学)について

 先ず化学が分子を扱う学問であること、分子は人間がイジれる最小の単位であること、有機化学は分子の中でも炭素を含む分子に関する研究を行う分野であること、有機化学の研究には反応化学、合成化学、天然物化学、生物有機化学、材料化学、計算化学などがあることをざっくり話して、僕の専門分野である合成化学について博士課程の合成ターゲットであった分子を使って、逆合成解析の考え方と実際の全合成についてのエッセンスを紹介しました。

 

僕自身、高校3年生で有機化学を習った際、原料と試薬、生成物を全部覚えて下さい、と言われA3用紙にまとめられた反応フローチャートを化学の先生が配った時、「あ、有機化学って覚えるだけなんや、クソやな」とずーっと思っていました。そして勉強しなかったので有機化学の模試の成績はいつも悪かったのです。

 

ところが大学で有機化学を習った時に衝撃を受けました。理論的に反応を制御できる(暗記だけじゃない!)こと、複雑な分子も戦略的に合成できること、そして何より教授のN先生がいつも「有機化学は面白い!」と豪語していたことですね。変な先生だなーと思っていましたが、N先生が本当にいつも楽しそうに研究の話をされるので、騙されたつもりで研究室に行ってみようかなと思ったことがきっかけで、今も騙されてオックスフォード大学で有機化学の研究をしている訳でありますが。

 

高校でも求電子性、求核性、ルイス酸、ルイス塩基、フリーデルクラフツ反応の考え方くらい教えてくれれば良かったんだけど、熊本大学理学部化学科の学生を見ていると、如何せん高校の化学の先生の中にも有機化学が得意でない先生がいるのだなぁという背景がある様に感じました。その辺はどうなんでしょう、実際に高校の化学の先生に意見を聞いて見たいです。

 

 

2、大学、大学院ってどんな所か、僕が進路を選択した動機や心境など

 これは実はかなりこのブログで紹介してきた内容であります。ブログに書いて残すって意外な時に役にたつのだなぁと思いました。先ず薬学部を目指した理由は高校で好きな女の子が薬学部志望で話を聞いて、「へー、なんか良さそう」と思ったことがきっかけであること、そこから勉強したこと、受験勉強で失敗したこと、大学では勉強しようと決心して頑張ったこと、大学院進学は挑戦であったことなどですね。

 

詳しくは以下の記事からご覧になれます。正にこの内容をプレゼンにした感じです。興味があればどうぞご覧くださいませ。

 

www.drugstore-potechi.com


 

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3、研究生活で学んだこと 

 

これはあんまりウンチクを垂れても伝わらないので、シンプルにまとめました。

それは、目標をたてれば、あとは「行動→失敗→思考→行動...」のサイクルを繰り返せば必ず達成できる、という考え方です。

 

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(人生必勝サイクルと適当に命名したのですが、もっと良い名前があればぜひ教えてください。) 

 

 

 

感想

 

 高校生の皆さん僕の話を食い入る様に聴いてくれて、とても楽しく講演することができました。更に時間いっぱいまで質問が引っ切り無しでした。多くの生徒さんから「オックスフォード大学から講演に来るということで、スーパーエリートがやって来ると構えていたら全くイメージが違っていて、自分も頑張ろうと思った」という様な事を言われたので、しめしめという感じです。校長先生、教頭先生、学年主任から化学の先生まで講演に参加していただいて、皆さんから絶賛して頂きました。来年度も都合がよければ講演して欲しいという事と、来年度は規模を大きくした方が生徒に有意義であるということ、他に母校出身の研究者で知り合いがいれば、ぜひ講演に呼びたいので教えて欲しいと言われました。

 

ということで、最後に。

 

田舎の高校には大学のイメージが不足していると感じています。先輩が自身の体験を提供することはとても貴重です。進路選択などで失敗したと感じた事などもどんどん講演したら良いと思います。

 

田舎の学校を出たなら、母校でどんどん講演しよう!

 

 

愛媛県新居浜西高校のOB、OGのみなさま、このブログをもし拝見して頂けたなら、ぜひ母校で講演してあげて下さい。