Dr.ピペリジンのブログ

少年は思った、ドラッグストア でポテチ売りたいな。そんな気持ちで薬学に進学した人の後日談。お問い合わせも気軽にどうぞ。

暗記と理解の違い【薬学攻略日記、第4回】

 今回は僕が薬学部でやっていた勉強、特に新しい範囲をどうやって理解していったかという部分を改めて自己分析、そこから導いた暗記理解の違いをガンダムの世界を例に説明しようと思います。

 

なぜ、ガンダムかって?もう薬学の知識を殆ど忘れちまったのと、教科書類が手元にないのと、あと面倒臭い。薬学以外の人にも理解してもらおうと思い、手っ取り早く説明できそうなガンダムをチョイスしたのです。

  

記憶の次元について、暗記から理解へのプロセス

  

 

【0次元】

3次元記憶を説明する為に、まずは0次元記憶から説明する。

 

0次元記憶は単語そのもの。意味を持たない。

ガンダム」「アムロ・レイ」「ビームライフル」「シャア専用ザクll」「シャア・アズナブル」「地球連邦軍」「ジオン軍」「赤い彗星」などなど

これら全て0次元記憶。暗記力が高いほど0次元記憶は得意と言える。

 

 

 

【1次元】 

さて、次は1次元記憶。ここで用語が繋がり、初めて意味をもつ。

上の用語を1次元記憶で分類すると大きく二つの線ができることがお判りだろうか。

 

ガンダムアムロ・レイビームライフル地球連邦軍

 

シャア専用ザクllーシャア・アズナブル赤い彗星ジオン軍

 

しかも、この線は文章化できる。

地球連邦軍が開発したモビルスーツガンダムパイロットはアムロ・レイで、主武装ビームライフル

 

 

1次元記憶と0次元記憶は密接な関係がある。1次元記憶は0次元記憶を覚えやすくし、さらに忘れにくくする特徴がある。しかし、これだけでは理解は浅い、初歩の初歩といったところ。

 

 

 【2次元】

続いて2次元記憶、これは一次元記憶の線が意味のある繋がりをもつ部分の事。

すると、こんな感じになる。

 

ガンダムアムロ・レイビームライフル地球連邦軍

  | MS                      |ライバル         |1年戦争

 シャア専用ザクllーシャア・アズナブル赤い彗星ジオン軍

 

 

ビームライフル赤い彗星には関連がないので縦線が入ってない事に注目してほしい。

そして、これらの横線、縦線を細部までグーグルマップのようにたくさん引ければ、【機動戦士ガンダム】についてかなり詳しい、という事になる(図1)。

 

f:id:TBUKUUOx:20180328042405j:plain

*あくまでイメージ。

 

 

 

 

薬学部の試験では、マップがどれくらい頭の中に描けているかを問われていると言い換えることができる。そして、単位の取得には、この2次元記憶で十分なのだが、薬学は範囲が広く、たくさんのマップを詳細に頭に描く必要があるため、単位を落とす人、留年する人が続出する。因みに試験勉強を過去問に頼ると、1次元記憶だけでテストを攻略している状態に近い(と思われる)。

 

ざっとあげると、

【基礎化学】【基礎生物学】【有機化学】【物理化学】【生物有機化学】【生化学】【薬理学】【病態生理学】【微生物学】【人体構造学】【薬剤学】【衛生薬学】【公衆衛生学】【放射化学】、、、etc

 

国試対策本の冊数を見ればわかるが、その冊数分くらいのマップが国試合格には必要ということだ。

 

 

 【3次元】

いよいよ本題の3次元記憶について述べる。

3次元記憶の特徴は、0次元記憶(暗記)はもちろん、2次元記憶さえ容易にする脅威の記憶だ。

感がいいニュータイプの諸君であればもうお気づきだろうが、《ガンダムシリーズ》は他にもたくさんある。

機動戦士ガンダム】【Zガンダム】【ZZガンダム】【νガンダム】..........etc

 

この作品はぞれぞれ別の2次元記憶のマップが引ける。そして、作品間には共通している事も多い。この作品間のつながりこそ、僕の言う3次元記憶である(図2)。

 

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*あくまでイメージ

 

 

この3次元記憶が、0次元記憶に役立ったり、知識の欠陥の推理に使えたりと、かなり理解を深めるのに役立つのだ。具体的にどう役立つかは、下の例で見てもらうとわかりやすい。

 

例えば、Zガンダムにはクワトロ・バジーナと言うキャラが登場する。初代ガンダムは全くノータッチの人がZガンダムの勉強を初めて、いきなり下の問題が解答できるだろうか。

 

問題:クワトロ・バジーナ(もしくは同一人物)が搭乗した事のあるMSを二つ選べ。

1、百式 2、シャア専用ザクll   3、ジ・O  4、マラサイ 5、ディジェ 6、ハイザック

 

Zガンダムを相当詳しく見ていれば、いくつかのシーンで、クワトロがかつてシャアであったと言う描写があるので正答できるかもしれない。Zガンダムの知識だけだと、まずクワトロを覚えて、アムロを覚えて、劇中のクワトロの演説なんかも逃さずに聞いて、シャア専用ザクが何かわからないけど、クワトロをシャアって呼んでた気がするからシャア専用ザクか?って感じで、解答プロセスがかなり複雑化する。しかし、もしファーストガンダムを知っていれば解答するのは難しくないだろう。ファーストガンダムの知識があれば、アムロを新しく覚える必要がない(0次元記憶に役立つ)。そして、アムロとクワトロの会話を適当に聞いただけで、「あ、こいつシャアじゃん」って即わかる(2次元記憶の効率化)。しかも、シャア専用ザクが何かも知っているのだ(Zガンダムの2次元記憶では補えない)。もしかしたら、どこか途中の話でハイザックに乗ったかも、、、なんて迷いだすと、答えを間違うかもしれない。これが2次元記憶と3次元記憶の差だ。

 

 

 

 

 自分の興味のある内容には、この3次元記憶を自然と使っているのではないだろうか。だから作品の飲み込みは早く、より忘れにくい強固な知識となるのだ。好きなジャンルだったらいくらでも覚えられるのに、薬学の勉強はさっぱりだよーって人は、おそらく2次元記憶のみに頼っているか、もしくは、試験勉強において過去問、山勘の多様によって、一つとしてしっかりした2次元記憶がないために、3次元記憶に至らないケースが多いかもしれない。

 

僕は最初、大学2年で有機化学という大きな2次元記憶ができたので、1年で習った生化学の知識と有機化学の知識の間に生物有機化学の3次元記憶を構築する事で、生物有機化学はサラッと理解できた。加えて、しっかりした生物有機化学の知識は、逆に生化学の知識をも強固にしたのだ。ここまでしっかりしてくると、1年の時はさっぱりだった生物学、後に習う微生物学、免疫学、衛生薬学、公衆衛生学など全てにおいて3次元記憶ができた。おそらく、これが講義を全く聞いてなくても、試験前日に教科書を読むだけでほとんど成績で優が取れた理由だろう。

 

 

まとめ 

勉強をより確実にするには、まず一つでも良いからしっかりとした2次元記憶のマップを作る事を目標にしてみてはいかがでしょうか!薬学部の諸君には《薬学》という3次元記憶の塊を構築していただきたい!

なぜ僕は薬剤師国家試験をいとも簡単に攻略できたのか?【薬学攻略日記、第3回】

   日本は年度末ですな。コレから新しい生活が始まる人、それが楽しみな人、不安な人、気がついたら今年度が終わりそうな人、去年何やってたか思い出せない人、色んな人がいると思います。ということで、今回はコレから薬学部に進学して勉強頑張りまーすっていう人のタメになるのか、タメにならないのかよく分からない、どっちなんだよ!っていう、まぁそういうこともあるのかなー?くらいの記事を書きます。

 

 

あることをすれば薬剤師国家試験に簡単に合格できます。

体験談はリンクから。(薬学部での勉強の記事、大学6年時は毎日ゲーム三昧!)

www.drugstore-potechi.com

 

 

ふぅ、怪しいダイエット食品にも似た書き出しだな。

 

嘘を書くつもりはないので最初に明確にしておきたいのは多分「あること」が難しい。だけどそれなりにメリットはあるような気したので書いてみる。

 

 

さて、あることって一体なんでしょうか?

テストに関係のある非常にシンプルなことですよ。

 

当ててみてください。テストっていうヒントだけで、もし当てる事ができれば、その想像力があれば、おそらく国試もなんとかなる(と良いね( ˙-˙ )真顔)。

 

僕は薬学部時代、ほぼ全ての試験であることをやっていました。

一方、多くの人はあることをやっていません。

 

 

 

 

以下、解答。

 

 

 

過去問を見ないこと

 

ジャンジャーン。正解だった人はコメント欄にて挙手。おめでとうコメント返します。

 

どうでしょうか?

もう既に薬学部は3年、4年とずっぷり進学しちゃってる人、試験の度に先輩、同期からよく分からないルートで回ってくる試験の過去問にどっぷり浸かってますか?ほとんどの人が試験の一ヶ月前くらいからどうやって過去問を入手するか、そわそわしている光景をよく目にしたものです。

 

過去問は非常に便利な道具です。大学の先生はある程度単位をとらせないと大学側から「講義に問題アリ」と烙印を押されるので、過去問をきっちり覚えてたら「可」はやるよ、くらいのバランスで試験問題を作っていると思います。一部の先生は、しっかり理解してない生徒は単位を採らせないというスタンスで厳しい採点をしますけど。

 

僕の大学は有機化学とか薬理の先生がそんな感じでした。まぁそれでも過去問さえ覚えればなんとか単位は採れる、って科目は結構あるように思います。

 

 

過去問を頼ると、どうして国家試験で苦戦するの

 

過去問の内容はそもそも内容が飛び飛びだったり、先生の趣味で問題が選出されたり、意味はよく理解してなくても答えだけ書けるようになったりして、知識としては定着してないのだと思います。あくまで推測ですが。なので国家試験対策を始めた時に、全て綺麗さっぱり忘れており、6年生になって1から薬学部の全範囲を理解しなければならない。

 

 

過去問に頼らないと?

 

過去問に頼らないと、試験の傾向は当然分かりません。記号を選ぶ問題が多いのか、虫食いが多いのか、筆記があるのかすら分かりません。試験範囲の内容を最初から最後まで、どんな形で聞かれても正答できるように理解していなければなりません。

 

すなわち、頭の中で試験範囲の内容を自分の言葉で表現できるという状態です

 

過去問だけで乗り切るのと比較して、知識量で圧倒してないと単位は取れないという事です。僕は薬学部の一年から、ほぼ全ての試験、過去問なしで単位を取得しました。

 

(ほぼ、というのは、台湾出身の教授がいて、日本語の文章が得意ではないのか、先生が授業中に書いた文章以外は不正解という嘘か本当か分からない噂があり、僕は実際に過去問なしで二度挑戦して、全敗。先輩いわく過去問の答えと同じ文章書かなきゃ正解にならないよと教えられ、先輩に過去問をもらい再試験したら一発合格っていう嘘みたいな本当の話があって、事実上、一度だけ過去問に頼った。)

 

 

 

結果は?

 

以下、本当にあったウザい話が続くのでスルー推奨。

 

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大学3年の前期の授業中、「あ、薬学部の勉強はもう終わったな」と感じた。大学3年の時に力試しで国家試験模試を受けた時は、4年の先輩を追い越して上位にランクイン。4年になってCBT模試を最初に受けた時は最初から得点率9割で、これから1年間CBT対策で拘束されることにウンザリした。CBT対策の時、暇だったからウィキペディア見てたらすんげー怒られた。薬局実習、病院実習では現場の薬剤師を圧倒する基礎知識量と謙虚な振る舞いで両方とも100点という評価を頂いた(君を採用したいからぜひウチに、と病院、薬局両方から声がかかった。*この評価は僕一人の力では不可能だっただろう。一番下に解説あり)。国家試験対策が始まる前に、第一回卒業試験と称して国家試験の過去問を寄せ集めた試験は、ほとんど対策なし(大学院入試の試験勉強をしていた為)で得点率7割超だったので、まぁそんなもんかと思った。国家試験対策中にスマホでゲームをしていて怒られる。薬剤学の先生からは成績が良すぎて、他の学生のモチベーションが下がるという理由で、標的にされていつも厳しく怒られる(卒業式でそのことを告げられる)。 微生物学の教授が、彼がなぜあんなに出来るのが理解できないと言っていた。有機化学の先生からは、僕を絶対に落とすつもり(講義に枕持参で寝ていた為)だったけど、君を基準にすると全員落ちると言われた。国試本番は300点をちょっと超えたくらい。

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ウザいゾーン終わり。 

 

 

要するに、薬剤師国家試験をいとも簡単に攻略できたのです。

大学2年から4年まで過去問なしでテストを突破していたおかげで、自ずと国試のほとんどの範囲は頭の中で、自分の言葉で表現できるようになっていた訳ですから(=これを理解という)。

 

つまり、僕は国家試験対策を大学1年からやっていたと言えます。

 

多くの人は国試対策を6年になってから1年間で必死にこなします。一方で、僕は国試対策を6年間かけてやりました。

 

そう聞くとシンプルだし、僕が簡単に国試を攻略できた理由が理解出来る。

 

これが過去問を見ないメリットです。

 

もちろんデメリットは単位の取得が難しくなりますね。急がば回れです。

 

 

おわりに

 

これから薬学部に進学するって方、あるいは今、薬学部で頑張ってるよって方はぜひ過去問なしで試験突破を目指してみて下さい。どうしても不安なら、試験前日まで過去問はとっておいて、前日に過去問を見て解答がスッと出来れば、単位を落とす事はないのではないでしょうか。もし解けなくても、前日に足掻けるじゃん。(保証はしません、試験勉強はあくまで自己責任で)

 

 

という事で、今回の記事はいかがだったでしょうか。ちょっとでも薬剤師免許取得を目指して頑張っている学生の参考になれば幸いです。

 

(勉強とは何かがやっとわかった、勉強についてスッキリする記事を下記のリンクからどうぞ)

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おまけ

なんで病院実習、薬局実習で100点なんてスコアが出るんだよ!?バグってる!!!

思い当たるフシが二つある。

 

1、実習のタイミングが良かった。

実習は期間が3期に分けれていて、そのうち2つの期間で病院か薬局に行きますよね。僕は病院は2期、薬局は3期だったのですが、僕の前に実習をしていた学生がヤバすぎたらしい。居眠りの常習だったり、医者を怒らせて、そのお医者さんの病棟に立ち入り禁止になったとか。あらゆる質問にも全く答えられなかったそうな。薬局実習の方も相当だったようで。それと比較してたまたま100点になったのだと思うよ。

 

2、実習のパートナーが最高だった。

同じ大学の女の子と病院実習が同じになったのだけど、彼女は大学の成績トップ10に入っている最強女子でした。しかも、彼女は病態、薬理の知識が厚く、薬剤師さんの質問に僕が忘れているような内容をいつも的確に答えてくれた。一方、僕は有機化学の知識があったので、この構造だったらこういう風に効くのかもしれません、とか色々と薬剤師さんが普段考えてなかった内容を積極的にディスカッションしてました。薬剤部長が、「6年制薬学部になる事で、これ程高い基礎知識が身につくなら、これから排出される薬剤師はきっと僕達の脅威になる、薬剤師のみんなもしっかり勉強しないとダメだ」なんて朝礼でスピーチした事もありました。まぁ、そんなこたぁないんですけどね( ˙-˙ )真顔。加えて、1期の学生が怒らせたお医者さんのカンファレンスに参加した際は、お医者さんに質問された基礎病理を二人で完璧に解答したところ、逆にお医者さんがビックリして上機嫌になった事もありました。実習のパートナーって、絶対に評価に影響しますよ。

「みんな一緒」とかいう、誰のためにもなってない日本の公教育【田舎の教育あるある第3回】

 今日は日本の公教育(小、中、高)について考えてみたいと思います。

 

普通の家庭であれば、小〜中学校は公立学校に子供を通わせることが多いと思います。

僕も愛媛の片田舎に育ち、山の麓にある小中学校に通いました。その時はガキンチョですから、家の近くの学校に通って、一つの教室に40人がみんな一緒に座って、みんな一緒に朝から昼過ぎまで勉強して、放課後は習い事や塾に行くという、普通に普通の生活を送りました。なんの疑問も持たずね。

 

そして、中学を卒業した後は、それぞれ別の高校に通います。僕の中学から地元の進学校へ進学したのは、せいぜい10〜20%だったと思います。僕の高校から地元国立大学以上、偏差値でいうと50以上の大学に進学できるのは、5割程度です。どんぶり勘定すると、僕の小中学校から全国の高校生が習得するべきレベルに到達できるのは5〜10%ということですね(それ以外の高校は、お世辞にも受験で国立大学以上に進学は不可能なレベル)。この数字はあまりにも低いと思います。僕の地域がバカの集まりだったのか、そんな訳はありません。明らかに教育システムの歪みです。と言うことで、理由を探ってみましょう。

 

 

1、田舎なので高校の選択肢が少ない

まず、これは大きな要因だと考えられます。僕の地元の高校は、高専を除いて普通科が2校、工業高校1校、商業高校1校、総合学科1校、服飾科1校でした。高校の偏差値は、それぞれ普通科が61と48、工業高校40、商業高校39、総合学科40、服飾科(今はないので数値不明、レベルは商業高校以下)。はい、偏差値50〜60の高校は1校もありません。しかも、僕の地元の公立高校の受験は1度しかありません。定員があって上から切られるので、トップの高校にギリギリ合格できるかのレベルの学生と親は、進路を悩みます。滑ると私立となると、家計の問題もあるでしょう。僕の友達は、それで48の普通科高校に進学しました(彼はレベルを落とすことを決めてから、一切勉強をやめて遊んでました)。中学の先生はギリギリのラインだと、下のレベルを進めるように思います(担任によるかも)。公立中学の先生は、親と子供に下のレベルを受けるように説得するプロなんじゃないでしょうか。高校の先生ですらヘーキで偏差値40以下の大学をオススメしてきますからね。教師はその後のビジョンなどミジンコほども考えてないでしょう(ミジンコちゃんごめんね)。

 

とにかく、偏差値40代の高校は、そもそも学校の空気が勉強で国立大学進学を考えていないと思われます。教える側の立場が、国立大学狙うぞってスタンスでなければ、学生が狙う訳はないのです。狙わなければ、そのレベルはもちろん到達出来ないことを意味します。それよりも、教師は服装や頭髪の風紀指導は本気を出しています。以前の記事で偏差値61の高校ですら、あまり良い教育環境でなかったことを紹介しています。よければそちらも読んで下さい。もう本当に信じられないね、田舎の高校は。

 

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ということで、僕の地元ではトップの高校に進学できない≒大学受験の偏差値50に到達できないというカラクリがあるので、田舎では中学の時の成績の微妙な差が、高校進学によりさらに強調されることがわかります。熊本大学にいた時の学生の高校の偏差値は50〜70以上までと、かなりバラついていたことからも、偏差値50〜60の間の高校が1校もないことが、日本の受験システムに不利に働いているということが明らかです。

 

しかし、一つ重要なことを加えておきます。偏差値61の高校に行ったから幸せとか、行けなかったから不幸ということは全くないのです。ただ事実として、中学の時にちょっと勉強を理解していなかっただけ、なのです。勉強不足は、足りないと思うなら補えば良いだけのことです。人間が人間である以上、勉強をやっても出来ないということはそうそうありません。ゲームだって難易度がイージー、ノーマル、ハード、マニアックとあるでしょう。いきなりマニアックで出来る人は天才です。経験豊富なゲーマーならハードから始めてもなんとかなるかもしれません。でも、大抵の人はノーマルを一周して、コツを掴んだらハードはクリア出来ます。やらない人、やっているつもりの人、それから、やろうとする空気を与えない環境、そういうものが日本の公教育には非常に多く蔓延している様に感じます。

 

 

2、通っていた塾が良い?んなこたない。

1の理由から、進学する高校が大きく受験という教育システムに関係していることが理解出来ました。それは、いわば要因を大きくするエンハンサーの役割です。中3までに中学の内容を8割ほど理解していれば、地元の進学校に行けるわけです。実際に、中3の時の模試の総得点率80%以上というのが、先生がトップの進学校を受験させるかどうかの目安でした。僕は中3最初の模試は総合得点率80%弱で、最後の模試が90%強だったので、担任からゴーサインが出ました。すなわち学力に差がつく根本、イニシエーターは中学までの勉強な訳です。

 

そんなに成績が良かったのは、どうせ通っていた塾が良かったのでしょ?

 

日本の義務教育と学習塾はもはやコンビとして、日本の文化に定着しておりますね。僕は、寺子屋グループという四国に根ざした学習塾に通っていました。記憶が正しければ、その塾は普通コース、選抜コース(地元進学校向け)、特進コース(難関私立向け)に別れてまして、僕は普通コースでした。普通コースから地元進学校に進学できたのは、僕だけだったと思います(他にいたらごめんなさい)。詳しくは忘れましたが、普通コースからは、ほとんど進学校には行ってないはず。なぜなら、塾内で選抜試験があり、成績が良ければ選抜コース、特進コースに行くよう塾講師から勧められるからです。僕も中1の時は選抜コースでした。が、塾の宿題が出来ていないということで、普通コースに落とされました。そして中2からは、普通コースで勉強して、普通に進学校に合格しました。しかし、他の普通コースの生徒が進学校に行っていないという事実を考えれば、必ずしも塾が良いから成績が良い、ということではないことを意味します。ちなみに中1の時の選抜コースの同期は、みんな僕と同じ高校に入学しました。(選抜コースの異常に多い宿題とはなんだったのか!)

 

 

 

すると、次はこうです。

3、ふざけんな!地頭が良いだけじゃねーか!自慢してんじゃねー!!

 

そうでした、ごめんなさい。

 

で終わったら流石にひどいだろw

 

そこが重要ではないと思える要素がありすぎるのです。今、普通の小中学生が一日どれくらい勉強しているか知っていますか。総務省の調べによると、小学6年生で平均5時間超、中学3年で6時間超ですよ。考えてみて下さい、これだけの時間、毎日毎日勉強しても、中学までの内容は理解できないものなのでしょうか。それは流石にないと、僕は考えています。では、どうして僕の地元の中学から進学校に行けるのは2割弱なのでしょうか。

 

勉強時間はたくさんとっているが、「勉強」はしていない、というのが僕の結論です。

 

だからと言って、ほとんどの学生は勉強中に漫画を読んだり、遊んでいるわけではないのです。小中学生の勉強時間といえば、学校の授業と塾と、それらの宿題ですね。僕の塾は、普通コースとはいえ週3回、内容は英語60分、数学60分、国、理、社のどれか一つを40分というのが一回の授業でした。長期休暇になると集中講座と言って、休みのうち半分くらいは毎日、昼から夕方まで塾で勉強していた記憶があります。それらを平均するとみんな5時間以上は勉強してるよ、ということです。

 

先ほど述べたように、塾の普通コースから進学校に行くのはレアケースでした。(こんなに勉強時間をとっているのに!)

 

どうしてでしょうか?

 

塾で教えるのは、基本的に学校で習う内容の先取りでした。塾でお経のように聞いた内容を、塾の宿題で復習した後、また一から学校で聞くのです。

 

なんと時間の無駄でしょう。

 

それはクラスのみんなが同じ塾には通っていないし、そもそも学習塾に行ってない生徒は授業で初めて習う内容なのだから当然ですね。そして、学校の宿題でさらに復習を迫られる。

 

もう一度言いますが、塾の普通コースから進学校に行けるのはレアケースです。

 

要するに、塾で聞いて理解できなかった部分は、学校の授業で聞いても理解できていないのです。でも、本人がどこでつまずいているのか、それをサポートしてくれる機構は明らかに不足しています。学校は学習指導要領に従って、習熟度はともかく自動で授業は進行します。小学校低学年でつまずく人もいます。小学校では成長も関係しています。ちょっと大きくなって、あとで聞いたらなーんだって内容ばっかりですよ。あとで聞くシステムは日本の公教育には備わってませんがね。

 

日本の教育システムでは、バックグラウンドや習熟度がバラバラな40人がみんな同じクラスで、勝手に中学3年まで立ち止まることなく進んで行くのです。学校の先生にこれをマネジメントしろ、という方が不可能ですよ。塾で一回聞いて理解している学生は、学校でもう一回聞くのは退屈でしょう。一方では一旦つまずくと、そこに学校は時間を費やしてくれません。成績が低くいまま、勝手に進級します。

 

理解している人には退屈、つまづいた人にはサポートがない、これが日本の公教育なのです。そういう意味では、個別指導や家庭教師は良いかもしれませんね(経験がないのでわからない)。

 

「みんな一緒」とかいう、誰のためにもなってない日本の公教育には、このような背景があるように思います。 

 

大学生活で守ってほしい、健康に関する当たり前だけど大切なコト

 今回は健康に関する大学生活で守ってほしい、当たり前だけど大切なことをふたつ紹介します。ちなみに、僕はコレをやらなかったので、健康を損なってしまい、今いろいろな症状に結構苦しんでます。僕のようになってほしくないので多くの人に知ってもらいたいと思い、書きます。

 

1、毎年、歯医者に検診に行く

 コレ、マジで重要です。大学生になって一人暮らしが始めると、面倒になって、小学生の頃の歯科に対する恐怖心みたいなのもあって行かなくなる人もいるんじゃないでしょうか。僕は高3の歯科検診以来、大学3年まで4年間行きませんでした。ある日、歯があまりにも痛いので、大学の先輩と一緒に歯科に行く決心をしました。この時は虫歯がかなり悪化しており、神経まで到達、抜歯することになりました。この時に造った銀歯の調子が最近よろしくなくて、このところ2年連続で酷い炎症に悩まされております(今週の日曜に再発して現在進行形、マジで辛い)。炎症が起こると、歯に触ると激痛が走るので、ご飯を食べることも夜寝ることもままなりません。夜寝ると無意識で噛んでしまって、激痛で起きます。その時の痛みと恐怖からそのあとは寝れません。(日本にいれば直ぐに歯科に行くんですけど、イギリスということで行ってません。辛い。抗炎症薬と漢方でなんとかマシになってきました。最初の二日は成分がイブプロフェンのみの市販薬を服用、数時間は痛みが抑えられますが症状自体はあまり改善しなかった。痛くて夜じっとしていられなかったので、1日だけオーバードーズ、と言っても医療使用の範囲内。三日目にセインスベリーでイブプロフェン+フェニレフリンっていうのがあったのでなんじゃコレと思い試してみたら、抗炎症作用と歯茎の腫れが引き、たいへん優れた薬効でした。フェニレフリンが腫れている血管を収縮させるからか?単に時間経過で僕の免疫系が追いついた可能性もある。あまりにNSAID漬けは良くないなーと思い4日目は麻黄湯を飲んだ。効いた感じは、、、あまりないかな。5日目は朝にイブプロフェン+フェニレフリンを服用して、痛みも腫れもなくなったのでもう大丈夫だろう。なんて自ら人体実験。)

 

 さて、ちょっと怖い話をしましたが、毎年検診に行っていればまずそんなことにならないので安心して下さい。半年に一回くらい行くのが理想的ですが、一年に一回でも歯磨きをしっかりしてれば大ごとにはならないでしょう。

 

数年ぶりに歯科に行く→怖い→大きな虫歯が見つかり治療が大変→さらに怖い

毎年歯科に行く→口腔を丁寧に掃除してくれる→スッキリ気持ちいい

 

くらいの違いはあると思います。ぜひ、毎年歯科に行ってください。予防歯科の大切さをもっと広めるべきなのですが、それだと歯科が儲からないので大きく広告しないのだと思います。

 

 

 

 

2、布団、もしくはベッドで寝る

 

 は?当たり前でしょバカなの?

 

 そうですね。コレはすごーく当たり前のことです。僕は大学3年の時、布団も敷かず床に直接寝てました。何故かと言うと、研究を夜遅くまで(朝の3時〜4時くらい)やっていたので、ベッドで熟睡してしまうと朝一の講義に出れない可能性があり、床で寝てました。講義に出席しないと試験の受験資格がなくなるので仕方なくそうしてました。正直、薬学の授業なんて出席しなくても単位取れるんだが。こんな生活を半年くらい続けたことによって腰椎を痛めました。最終的に大学のスポーツ大会で悪化、椎間板ヘルニアになりました。寝たきり生活ですよ。その時は3ヶ月ほど安静にしても立つことすら出来なかったので、ブロック注射で炎症を抑えることで今は生活できています。まぁ、その時の三ヶ月はPCでオンラインFPSのAVAやプラモデル造りを思う存分したので、それはそれでエンジョイした。この男、タダでは転ばない。しかし、残念ながらスポーツは満足にできる身体ではなくなりました。いずれサイボーグかパワードスーツでなんとかしたいですね。今残っている症状は、ストレスの多い時期に足先が痺れたり、お尻あたりが筋肉痛の様な感覚になったりします。普通の学生生活では、床で寝るなんて変なことはしないと思います。あなたがどんなに夜が遅い大変な研究室に配属されたとしても、夜はしっかりとベッドで寝て下さい。朝寝坊しても良いんです。それでまともに指導してくれない先生であれば、大学院は別のところに行きましょう。大学院の時はそれはそれはほぼ毎日遅刻してましたとも先生ごめんなさい。健康はそれくらい大切なものです。

 

ーーー

★最近、ヘルニアの人が増えているようなので、僕がヘルニアになるまでの経過を書いておきます。

 

 最初は太ももあたりや、足の指先に痺れを感じました。痺れがずっと取れないので整形外科病院に行くと、坐骨神経痛と言われ抗炎症薬を処方され、同時に磁気治療を受けました。抗炎症薬で痺れはなくなりました。そんな症状があったのも忘れた頃、大学のバレーボール大会に参加、ぴょんぴょん飛び跳ねたので、コレが決め手となってヘルニアが急激に悪化、立てない、痛みで眠れないほどに悪化しました。ちなみに医者から飛んだりする激しい運動は控えるように、なんて言葉は全く一言も言われてませんでした!!20代と言う年齢を踏まえて、激しい運動する可能性が高いのだから注意すべきだと思うんですが、その辺はどうなんですかね、お医者さん?本当に最悪に悪化してから、やっと大きな病院を紹介されてMRIを撮影、腰椎椎間板ヘルニアの確定診断となりました。疑いがある人は激しい運動は控えて医者にしっかり相談したほうが良いですよ。

 

ーーー 

 ということで、今回は大学生活で守るべき健康に関する大切なことでした。これらはもちろん大学生に限らず大切なことですね。もしかしたらこのブログで一番大切な記事かもしれない。ということで、どうか皆様、僕のように健康を損なわないように身体を労ってください。

学振と業績と、そして虚無、からの奇跡の話。

 今回は博士課程3年で研究をやめようと思った話を書こう。結局やめずにイギリスで続けてるけど。 

 

 博士課程を修了したら海外で研究したいなーと思っていた。海外で研究する方法は主に2つ。

 

①海外の研究室のPIに雇ってもらう

 

②何かの助成金を当てて自分でお金を持っていく。

 

国によっては博士研究員の最低給料が決まっているため、研究室のPIが獲得した資金に上乗せしてくれる場合もある。日本の先生達の話を聞く限り、いろんな研究室に片っ端から手紙を書いて、お金に余裕のある研究室に雇ってもらうパターンもわりとあるみたい。バイタリティー溢れる人はぜひ、①を試して見てください。僕はやっていないので、手応えがどんなものなのかは分かりません。最近はお金を持ってくる日本人が多いので海外の教授と知り合いでもない限り、昔に比べて①ハードルは高いかもしれません。厳しいようだけど、言語で明らかにハンデなジャップを雇う理由はあんまりないかも。

 

と言っても、学会に行くと最近は日本人でも流暢な英語を話す学生がたくさんいてすげーなって思います。僕は英語がさっぱりなので。

 

一方で、②で海外の研究室に行く場合は大抵はどの研究室でもWelcomeです。僕の場合もハワイの学会でオックスフォードの教授とお話した際は、しきりに資金を獲得してくるように言っていました。多分、資金獲得なしでは雇ってくれなかったと思います。

 

 さて、僕が博士課程3年で研究をやめよーと思った理由は、単純に卒業後に海外に行けないだろうなって思ったからです。留学の助成金を獲得しようにも、業績がないと助成金は当たりません。助成金の獲得は全国のドクターに加えて、大学の先生方も申請します。同じ研究室の同期はDC1、後輩はDC2、僕は何もなし、、、こんなちっさい研究室ですら業績ドンケツの僕が助成金の申請なぞしても当たるわけねーじゃん!って思いました。だから、研究はやめよーって思ったんです。

 

 あ、そうそう、業績といえば学振ってやっぱりスゴイんです。学振を通す研究というのは、お金のみならず、良い論文、学会賞などがセットになってくることも珍しくないですよね。DC1の同期、DC2の後輩は高いIFの論文を一報持っていたし、出る先々の学会で口頭発表賞、ポスター賞をたくさん獲得してました。

 

一方で学振なしの僕は、高いIFの論文なし、学会賞なし(一応、国内学会の口頭発表賞がひとつだけ)。このようにディバインクルセイダーズ(DC)の彼らと比較すると、業績がなさ過ぎて頭の中で虚無の鐘がゴーン、ゴーンと鳴ってました。僕はこの虚無感に精神をヤラレたんです。うつとかにはなってないですけど。(DC、ディバインクルセイダーズ!良いね、気に入った、今度から学振持ちをディバインクルセイダーズと呼ぼう笑。)

 

そんなことがありまして、思い切って博士課程3年の4月に指導教官に、研究を辞めようと思うっていう話をしました。

 

卒業後は海外に行くのやめてYoutuberになろうと思います!って言っちゃいました。

 

その時ばっかりは指導教官もパソコンの手を止めて、海外で研究する素晴らしさとか、アカデミックに残っても十分に借金は返せるっていう話を、3時間くらいしてくれました。その場で結論は出せず、今後どうするかをもう一度考えてから返事することにしました。

 

薬学部時代の同級生やアカデミックに残っている先輩にも相談して、結局、助成金の申請書だけは提出することにしました。ちなみに申請したのは海外学振と上原記念生命科学財団の海外留学助成金。ま、絶対に採択されねーだろうと思ってたんですけど、やれるだけやってダメだったら流石にもういいだろうという気持ちで申請しました。

 

 

 先に海外学振の結果がわかります。不採用、C判定。申請者全体で最低の評価でした。そりゃそーすよね。うん、あざます。ちょっと驚きだったのは、DC1の同期も同様にC判定でした。博士課程でちょこっと良い結果が出たくらいじゃダメなんですね。というより、業績よりもどの機関からどういう内容で申請するかってのが大事な気がします。多分、世界で最先端の研究、雑誌で言ったらNatureやScienceを最近通したぜ!みたいな研究室で、その研究を発展させに行くぜっていうオラオラ系の研究計画じゃないとダメなんでしょう。ということで、いっそのこと海外学振を申請する時は、留学先をNature、Science、Cellを前年度に通した研究室から選んでみるってのはどうでしょうか?

 

 次に12月に上原財団の結果が知らされます。

 

結果

 

採択。

 

 

 

え?

 

 

 

マジで?

 

 

 マジで採択されました。僕が一番驚きですよ。上原財団は学科から一人のみ申請可能なので、全体の倍率は2倍程度とかなり低めです。僕の地方国立大学の場合は申請したのがなんと僕だけ。そういう意味では大きな国立大学や有名私立から申請する方が学内選考のハードルが高いですね。そういうわけでオックスフォード大学に1年間来ることになりました。

 

と言いつつ、オックスフォード生活も早7ヶ月が過ぎました。が、全く良い結果が出てないので困ったものですな。

 

しれっと書いておくと、去年の9月にオックスフォード大学から申請してたEUの研究助成金、マリーキュリーフェローシップに採択されたので、あと2年はオックスフォード大学で研究できます。

 

ec.europa.eu

 

いや、マリーキュリーもマジで当たらないと思ってたよ。ダメだったら帰国してアガタヒカル(メダロットの主人公)よろしくコンビニバイトやってみたいと思ってたんだが、計画が狂ってしまった。しっかりと成果を上げて日本に帰国しようと決意を新たにしたのでした。

 

ドラッグストアでポテチ売ろうと思って薬学部へ。

 

同級生とうまくやって行けず、孤立。

 

教授に研究を勧められて研究室に。

 

そのまま薬剤師はつまらんと思い大学院へ。

 

もう研究やめよーと思って申請したら助成金が当たってオックスフォードに。

 

オックスフォードは一年だから、そんなに成果は出ねーだろと思ってた。

 

とりあえず申請したマリキュリが当たって留学が2年延長。

 

本当に何があるかわかんねーな。

 

 

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P.S.マリキュリって給料がめちゃくちゃ良いよ。しかも2年間。奨学金返せる泣きそう。父さん笑顔で母さん泣いてた。ビバ、ヨーロピアンドリーム。奨学金の返済に悩んでる博士課程の諸君、マリーキュリー狙ってヨーロッパに来てみては?

博士課程とお金のはなし

 

 どうも、学振DC1、DC2共に落っこちた人です。ついでに言ったら海外学振も落ちたけどな!!学費、奨学金、生活費。今日は切っても切れない博士課程とお金のはなしをしよう。

 博士課程で一番有名な収入源は日本学術振興会が行っている特別研究員制度、通称、学振でしょう。10ページくらい(たしか)の研究計画、研究の経験などを書いた申請書を提出して、良い研究成果を挙げていたり、明確な研究計画が示ていたりと、審査員に優秀だと認められれば、博士課程で研究しながらお給料が貰えます。修士課程で申請するとDC1、博士課程に進学してから申請するとDC2と名前が変わります。給料はどちらも同じ月20万円、つまり年収240万円。研究に励む優秀な20代後半が戴く給与としては安いと思うかも知れません。とりあえず言える事は、学振持ちで親と独立生計にして一人暮らしであれば、授業料免除は確実に受けられるので、国立大学ですと普通に授業料収めてる人より年間50万円ほど浮きます。とりあえず一人で生活するには困らないでしょう。僕の同期はDC1だったので、3年間でかなり貯金できたようです。お金の話なので詳しくは聞いてませんが、卒業後に海外の研究室に私費留学してもいい、なんて話してたところをみると結構貯めれたんでしょうね。そんなDC1の彼が昼食をとっているときにテレビに向かって言ったセリフがこちら「奨学金借りて大学行くとか、バカっすよ」。お箸落としそうになったわ。思っててもいーけどさ、学振落ちたから奨学金借りて研究してる僕の前で言わなくても良いのにね。わんわん!負け犬の遠吠えだワン!

 

  さて、当然ですが学振は全員が貰える訳ではありません。採用率を見てみるとDC1、DC2共に20~25%前後で推移してます。そう考えると、博士課程全体では40%くらいは学振に採用されてるって事でしょうか(間違ってたら指摘お願いします)。うーむ、僕は残り汁の60%だったのか、残念。学振が戴けないとなると、他にもいくつか奨学金がありますのでハングリー精神がある人はどんどん応募したら良いと思います。僕は学振落ちたショックで他に申請書を作成する元気はなかったのでやりませんでした。するとどうなるか、当然、収入は0円です。僕の博士課程3年時のステータスは、29歳、収入0円、借金(奨学金)–840万円という現実から目を背けたくなるようなモノでした。家賃は僕の奨学金から支払い、学費と生活費は親に出してもらってました。博士課程の学費免除は通りやすいらしいので、学振当たってない人はぜひ申請した方が良いですよ。僕は学振落ちて、精神的にお金に関係することの手続きを避けていたので、博士課程3年の前期まで親に払ってもらいました。博士課程3年の後期になって、やっと自分でお金を工面しなければ!と自らを奮い立たせて学費免除を申請したらあっさり免除になりました。親が前年に定年退職したからかもしれませんが。もう親のスネをかじりにかじって、太ももまで食べつくしました。きっと親はジオングみたいになってますね。冗談はさておき、このままではやべぇと思って博士課程3年で可能な限り自分でお金を集めてみることにしました。博士課程3年は修了の年なので、大きな奨学金は狙えません。そこで一年ポッキリの援助を行っているところを探したところ、日揮実吉奨学金、大学独自でやってる奨学金、地元愛媛の伊予銀行がやってる池田育英会なるものがヒットしました。それで全部トライした結果、日揮実吉と大学の奨学金は当たりまして、約80万円を回収できました。地元愛媛には弾かれた、、、愛媛こんにゃろー。あとついでに、Youtubeでアプリのプレイ動画を配信したら、4万円くらい稼げました。ただ、アプリの人気とともに有名配信者がどっと参入してきてすぐ再生数は稼げなくなりアプリ配信ではもうダメやなーといった具合です。Youtubeは今年の改定でグーグルアドセントに参加する条件が厳しくなったので、博士課程で稼ぐには学部生くらいから動画投稿してた方が良いですね。

 そして最後の砦、大学院生が対象の学生支援機構の奨学金返還免除申請しました。なんと全額免除!!!博士課程で借りた288万円を見事、頂戴しました。これで結局、–840万と思われた借金は一気に552万円まで減りました。まぁそれでも負担は大きいですけどね。返還免除の結果は大学を修了した後、6月下旬に知らされました。

 

結論

 

学振当たらなかった博士課程のお金の事情と言うのは非常に寂しいことになります。

 

ちなみに、博士課程3年の4月に「先生、俺、このままだと奨学金返せねーっすよ」って半泣きで指導教官に言ったら「研究してポジションに就いたら絶対に返せる!大丈夫!!」と言われました。

 

正直、「オレ、学振貰ってたからな!でも奨学金返すのは辛かった!!」と普段から豪語している指導教官にそんな事言われても、僕の心は1ピコメートルも動かなかったですけど。

 

でも、僕は研究をやめませんでした。

 

理由はひとつ。

 

僕の好敵手は学振の審査員やDC1の同期、DC2の後輩でもなくて、僕の研究だけだから。

 

自分の研究を形にする。絶対に諦めないって気持ちで博士課程3年の最後まで研究をやり遂げました。そんな強いこと言っても、実は、研究を辞めようと思ったことはあります。その話はまた次回にします。

 

 

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研究を辞めようと思った話

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田舎の進学校にありがちな残念教育【田舎の教育あるある第1回】

今回は僕が私立大学、地方国立大学、そしてオックスフォード大学と渡り歩き、そこに通ういろいろな学生を見て、出身高校の教育の違いについて感じたことを書こうと思う。

 

僕は愛媛県新居浜市という田舎にある、新居浜西高校に通っていた。地域では一番の進学校だ。

 

今なら分かる、母校の進路指導が正直言って良くなかったと思う理由をまとめます。

 

 

衝撃!田舎の進学校で行われた残念な進路指導の実態とは・・・?

 

大きく分けると、以下の3つが思い当たります。

 

  1、地元国立大学崇拝。メッカ。地元国立進学こそ人生の全て。

 

2、センター試験勉強重視。というか、それしか教えてない教えれない。センター試験、センターしけぇぇぇん!

 

3、いい加減な進路指導。先生が生徒と大学の特色をまるっきり理解してない。

 

 

 

 

 

 

1、地元国立大学崇拝

 僕の地元の場合は愛媛大学である。教師達は生徒を愛媛大学に合格させることに躍起になっている。僕は愛媛大学が悪いとは全く思わないが、この姿勢の残念なところは、もっと上の大学を目指すという意識が芽生えないことだ。これは宗教に近いかもしれない。宗教上、豚肉を食べない人は、豚肉の味について想像することはないという訳だ。高校の先生は、愛媛大学は最高の大学であると常日頃から言っていた。もしかしたら、もっと上が狙えるかも?という期待は、勉強の大きなモチベーションとなる。でも、あんまりに愛媛大学が良い良い、というから、そこで生徒が愛媛大学に進路を定めると、それ以上の大学にいける可能性は極めて低くなるのだ。ましてや、受験失敗した場合は、進路が底辺私立になりかねない。やはり、地元愛は良いとしても田舎の地元国立大学崇拝はもったいないのである。

 

 

2、センター試験勉強重視

 カラクリは非常に単純である。田舎の地元国立大学の入試においてはセンター試験の成績が非常に重要視される。なので、センター試験で良い点数を取れれば、地元国立に進学できる可能性が高くなる。必然的に授業は「センター試験にでるから覚えなさい」というスタンスで行われる。これが僕にとっては、致命的につまらなかった。何故なら、勉強した先に何があるのかを一切教えていないからである。少なくとも僕は高校で数学にはまだ未解決の難問があるとか、数学者と物理学者が協力してブラックホールの研究をしているとか知らなかったし、更に言うと有機分子が論理的に合成できることさえ知らなかったのだ!(高校の時、本当に有機化学は化学のクソだと思っていた。)勉強の興味を先生が煽ることは重要である。そういう話をする先生は、高校3年間を通して皆無だった。これはつまり、生徒本人に、いい大学に行くという意識がなければ、勉強をする意味そのものがなくなってしまうのと同様である。高校の先生が、もしこの記事を読まれたら、ぜひ実践してほしいことがある。生徒に対して、自分が教えている教科を「面白い!」と言葉にして言ってほしい。驚くべき事に、偏差値70前後の高校出身の学生の話を聞くと、高校の化学の先生が面白くて理学部に来ました、という生徒が多いのである。高校の化学がつまらなくて、有機化学は特に嫌いだった、という僕にとってはカルチャーショックだったのだ。

 

 

3、模試の点数しか見てない、いい加減な進路指導

 田舎の高校の先生は大学のリサーチなど全くしていない。生徒の模試の成績を見て、愛媛大学に受かりそうなら愛媛大学を勧め、それ以下なら松山大学を勧めるのだ。生徒の志望学部が愛媛大学松山大学にない場合は、志望学部がある大学リストから偏差値とマッチするのを適当に調べて持ってくるだけである。先生は大学の特色などさっぱり理解していない。もっとヒドいのは、生徒の特性すら理解できていないのである。例えるなら、スカウターに頼るフリーザ軍団のザコである。彼らには孫悟空の強さなど、全くわからないのだ。僕は今でこそ、オックスフォード大学化学科でポスドクとして勤務しているが、高校のときの成績が酷く、特に英語と数学は最低であった。とはいえ、化学と物理は勉強しなくても上位であった。ごめん、盛ったかも。普通よりちょい上くらいなだけだった気もする。適切な進路指導であれば、化学か物理かを活かせる大学を勧めるべきである。あろうことか、高3の担任は、薬学部は無理だからと言って松山大学の経済学部を勧めてきたのだ。如何に適当な進路指導かがわかる。僕が薬学部の進路を変えないとなると、「難しいから浪人も視野に」と言っていた。適当な進路指導の裏にも地元大学崇拝がある気がする。現在、高校で担任をやっていらっしゃる先生は、学部は同じでも大学によって特色があることを理解して頂きたい。生徒が希望する大学の研究室のホームページを見て、研究の概要を見て、専門外の場合は他の教科の先生に聞くなどして理解する努力をして欲しい。僕はそれが、真に生徒のためになる進路指導だと考える。

 

 

 

まとめ

 田舎の進学校で行われる教育は、生徒の能力を伸ばせていないと強く感じる。少なくとも僕は、高校の時には良い大学にいけるイメージも湧かなかったし、研究者は無理だと思い込んでいた。そういう環境である事がそもそも大きな問題。更に、良い大学に行ったらどういうメリットがあるかを理解できなかったし、環境的にそれを教えてくれる人もいなかった。結果として、良い大学に行きたいという感情など微塵も湧かず、高校時代は勉強を放棄した。もちろん、ただゲームが楽しいダメ人間だったというだけかもしれない。一方で、偏差値70前後の高校出身の生徒からは、授業についていくのは大変だったが先生が非常に面白く、進路決定の参考になり、旧帝大を目指して勉強したという話をよく聞いた。偏差値60前後の高校に通っていて、普段の授業がつまらなく感じている人は、先生に問題があるのかも。