暗記と理解の違い【薬学攻略日記、第4回】
今回は僕が薬学部でやっていた勉強、特に新しい範囲をどうやって理解していったかという部分を改めて自己分析、そこから導いた暗記と理解の違いをガンダムの世界を例に説明しようと思います。
なぜ、ガンダムかって?もう薬学の知識を殆ど忘れちまったのと、教科書類が手元にないのと、あと面倒臭い。薬学以外の人にも理解してもらおうと思い、手っ取り早く説明できそうなガンダムをチョイスしたのです。
記憶の次元について、暗記から理解へのプロセス
【0次元】
3次元記憶を説明する為に、まずは0次元記憶から説明する。
0次元記憶は単語そのもの。意味を持たない。
「ガンダム」「アムロ・レイ」「ビームライフル」「シャア専用ザクll」「シャア・アズナブル」「地球連邦軍」「ジオン軍」「赤い彗星」などなど
これら全て0次元記憶。暗記力が高いほど0次元記憶は得意と言える。
【1次元】
さて、次は1次元記憶。ここで用語が繋がり、初めて意味をもつ。
上の用語を1次元記憶で分類すると大きく二つの線ができることがお判りだろうか。
「シャア専用ザクllーシャア・アズナブルー赤い彗星ージオン軍」
しかも、この線は文章化できる。
地球連邦軍が開発したモビルスーツ、ガンダムのパイロットはアムロ・レイで、主武装はビームライフル。
1次元記憶と0次元記憶は密接な関係がある。1次元記憶は0次元記憶を覚えやすくし、さらに忘れにくくする特徴がある。しかし、これだけでは理解は浅い、初歩の初歩といったところ。
【2次元】
続いて2次元記憶、これは一次元記憶の線が意味のある繋がりをもつ部分の事。
すると、こんな感じになる。
| MS |ライバル |1年戦争
シャア専用ザクllーシャア・アズナブルー赤い彗星ージオン軍」
ビームライフルと赤い彗星には関連がないので縦線が入ってない事に注目してほしい。
そして、これらの横線、縦線を細部までグーグルマップのようにたくさん引ければ、【機動戦士ガンダム】についてかなり詳しい、という事になる(図1)。
*あくまでイメージ。
薬学部の試験では、マップがどれくらい頭の中に描けているかを問われていると言い換えることができる。そして、単位の取得には、この2次元記憶で十分なのだが、薬学は範囲が広く、たくさんのマップを詳細に頭に描く必要があるため、単位を落とす人、留年する人が続出する。因みに試験勉強を過去問に頼ると、1次元記憶だけでテストを攻略している状態に近い(と思われる)。
ざっとあげると、
【基礎化学】【基礎生物学】【有機化学】【物理化学】【生物有機化学】【生化学】【薬理学】【病態生理学】【微生物学】【人体構造学】【薬剤学】【衛生薬学】【公衆衛生学】【放射化学】、、、etc
国試対策本の冊数を見ればわかるが、その冊数分くらいのマップが国試合格には必要ということだ。
【3次元】
いよいよ本題の3次元記憶について述べる。
3次元記憶の特徴は、0次元記憶(暗記)はもちろん、2次元記憶さえ容易にする脅威の記憶だ。
感がいいニュータイプの諸君であればもうお気づきだろうが、《ガンダムシリーズ》は他にもたくさんある。
【機動戦士ガンダム】【Zガンダム】【ZZガンダム】【νガンダム】..........etc
この作品はぞれぞれ別の2次元記憶のマップが引ける。そして、作品間には共通している事も多い。この作品間のつながりこそ、僕の言う3次元記憶である(図2)。
*あくまでイメージ
この3次元記憶が、0次元記憶に役立ったり、知識の欠陥の推理に使えたりと、かなり理解を深めるのに役立つのだ。具体的にどう役立つかは、下の例で見てもらうとわかりやすい。
例えば、Zガンダムにはクワトロ・バジーナと言うキャラが登場する。初代ガンダムは全くノータッチの人がZガンダムの勉強を初めて、いきなり下の問題が解答できるだろうか。
問題:クワトロ・バジーナ(もしくは同一人物)が搭乗した事のあるMSを二つ選べ。
1、百式 2、シャア専用ザクll 3、ジ・O 4、マラサイ 5、ディジェ 6、ハイザック
Zガンダムを相当詳しく見ていれば、いくつかのシーンで、クワトロがかつてシャアであったと言う描写があるので正答できるかもしれない。Zガンダムの知識だけだと、まずクワトロを覚えて、アムロを覚えて、劇中のクワトロの演説なんかも逃さずに聞いて、シャア専用ザクが何かわからないけど、クワトロをシャアって呼んでた気がするからシャア専用ザクか?って感じで、解答プロセスがかなり複雑化する。しかし、もしファーストガンダムを知っていれば解答するのは難しくないだろう。ファーストガンダムの知識があれば、アムロを新しく覚える必要がない(0次元記憶に役立つ)。そして、アムロとクワトロの会話を適当に聞いただけで、「あ、こいつシャアじゃん」って即わかる(2次元記憶の効率化)。しかも、シャア専用ザクが何かも知っているのだ(Zガンダムの2次元記憶では補えない)。もしかしたら、どこか途中の話でハイザックに乗ったかも、、、なんて迷いだすと、答えを間違うかもしれない。これが2次元記憶と3次元記憶の差だ。
自分の興味のある内容には、この3次元記憶を自然と使っているのではないだろうか。だから作品の飲み込みは早く、より忘れにくい強固な知識となるのだ。好きなジャンルだったらいくらでも覚えられるのに、薬学の勉強はさっぱりだよーって人は、おそらく2次元記憶のみに頼っているか、もしくは、試験勉強において過去問、山勘の多様によって、一つとしてしっかりした2次元記憶がないために、3次元記憶に至らないケースが多いかもしれない。
僕は最初、大学2年で有機化学という大きな2次元記憶ができたので、1年で習った生化学の知識と有機化学の知識の間に生物有機化学の3次元記憶を構築する事で、生物有機化学はサラッと理解できた。加えて、しっかりした生物有機化学の知識は、逆に生化学の知識をも強固にしたのだ。ここまでしっかりしてくると、1年の時はさっぱりだった生物学、後に習う微生物学、免疫学、衛生薬学、公衆衛生学など全てにおいて3次元記憶ができた。おそらく、これが講義を全く聞いてなくても、試験前日に教科書を読むだけでほとんど成績で優が取れた理由だろう。
まとめ
勉強をより確実にするには、まず一つでも良いからしっかりとした2次元記憶のマップを作る事を目標にしてみてはいかがでしょうか!薬学部の諸君には《薬学》という3次元記憶の塊を構築していただきたい!